かとみなの歌う「愛しさのアクセル」はここがイイ!
どこかセーブするのは 嘘をつきたくないから…
文句なし!
バック音(ベース、ドラム、音色)のリズムと音の強弱と、彼女の声のリズムと強弱が見事に一致して、かとみなの声色と合わせて聞き心地抜群の歌唱箇所となった。
歌唱の指導でよくあるのが「音をよく聞きなさい」と。
どんなに短いフレーズだとしても「グルーヴ感」というものは存在していて隠れているものだ。
音をよく聞くことで見出し表現する…たとえかとみなのこれがまぐれでも偶然でもどうだっていい、この箇所における文句なしの音楽と歌声のシンクロを魅せ付けた。
そして何よりも…
「るのわぁ」
特に「わぁ」が、往年のアイドル歌手の歌声になっていて最強に美しい。
第一回の記事でも書いたけど、おそらくこの辺の声の響き(昭和的な往年の女性アイドル歌手の「淡く濃厚な、それでいて透明感のある色合い」)が、加藤美南が歌を歌う良さだと思われる。
他のメンツ、大島や―高みなや―珠理奈には出せていなかった「アイドル歌手としての独特の声の色気・魅力」が、最後の最後で炸裂した。
アイドル歌手加藤美南が見えた…
まさにその現場(ステージ上)で歌が別の場所から流れているという不自然さが、間違いなくそこにはある。
特にバトン持ってからのパフォーマンスは歌を放棄した「嘘つき娘のお遊戯会」
には、ならないんだよね…
それがこの子の凄いところで、(バトンの腕前もさることながら、パンツずり落ちるアクシデントのミラクルカウンターはさておき)恥辱の口パク丸出しになってからも、そこで観る者の心を途切れさせない、観る者の心を離すことなく魅せ続ける魅力が、彼女にはあった、できた。
この完成度を以ってしてやってのけたのだから、過去の先輩たちの「愛しさのアクセル」をしょぼいものに貶めたし、後に続く「愛しさのアクセル」のパフォーマンス者に対して常にプレッシャーを与え続けることとなる。
どこかセーブするのは…嘘をつきたくないから
ここは本当に面白い。
彼女の歌唱で最も楽しめる。
というのも、たいてい誰でもこの箇所で「スッと引いてる感じ」を印象として受けるはずだ。
それは作曲的なテクニック(コード)によるところが大きいのだが、サビに入ってからのサビならではの強めに歌ってきた流れを汲んで、ここでスっと引いて入り込むのだから、歌唱を上手く熟せば2重にその「スッと引いてる感じ」を印象付けることができる。
「どこかセーブするのは」で色、場面、景色が変わって見える効果がある。
サビの流れのままノリノリで、あるいは勢いよく、力強く「どこかセーブするのは」を歌ってしまっては、せっかく音がやろうとしていることを無意味にしてしまう。落差が弱まる。
加藤美南は見事、音がやろうとしていることとシンクロさせたことで「変化」を生み出した…
【超蛇足】ここからは読解問題的解釈や個人的な見解(想像)を多分に含むコーナー。
誰がセーブするのだ…
加藤美南の歌声で見せてくれた変化によって、すごく面白いなぁ~と感じたものが「人称の変化」だ。
愛しさのアクセルをもっと踏み込むのは「あなた」だし、加減してるのも「あなた」、これ以上愛しちゃいけないのも「あなた(が私を)」
では、「どこかセーブするのは」
セーブしてるのは誰???
「あなた」が、私のことをこれ以上愛さないように、どこかセーブしている…?
普通に文字だけで読めばそうなるだろう…
しかし上で述べた変化によって色や場面・景色が変わったような印象を受けた自分は、ここで「私がどこかセーブするのは…」という女の方の気持ちに切り替わっているのでは?という見え方に気付いた。
第2回の鑑賞会で、かとみなの歌声から「引き癖のある女性像」を感じたと述べた。
「あなたのことが好きよ、好きなのよ!ねぇ?あなたもそうでしょう?キスして!抱きしめてよ~~!!」
って押すんじゃなくて、「どうせ私なんて…あなたにはもっと他にいい女性が…」
って、引く女性。
この引き = セーブ
と重なって見えたんだよね。
「あれまさか?」
って…。
それで次の「嘘をつきたくないから」
これはいったい何なのだろう?
2番3番曲全体の歌詞を知らない(あえて知りたくない)自分の想像解釈ではあるが
女は男のことが好きなのだが、男のアプローチ具合からして「フラれるような予感・付き合ってもらえない敗北を予期」 = 歌詞にある「胸の奥にチカチカしてるハザード(ハザード = 危機的信号・非常事態お知らせ)」 によって、意識的に女もアプローチをセーブしていた…
本当にこの恋にチャンスありと思えば女だって何かしらのアクション・リアクションをして駆け引きをしてって、するだろうけど、「ダメだこりゃ。。」っていう予感があって、女があなたへのアプローチをどこかセーブしていた…
そしてそれは、「私が振ったのよ」とか「私、別にあんたのこと好きじゃないし?」って、強がりを成立させるためには、「好きよ好き好き―!!」って攻め込んで振られたら成立しないわけで、本当は好きなんだけど、好き好き―ってしてないから「別にそんなに好きでもなかったし」って強がり、嘘が通用する。
そーゆー意味の「嘘をつきたくないから―」という女の強がりが、猛る歌唱と共にメッセージに込められている。
アクセル踏みこんでよ!ってイキっておきながら、どこかセーブするのは…って、テンションの波の激しいイカレたお姉さんのように見えてしまうけど、そう見えないのは、「愛しさのアクセルを ~ これ以上愛しちゃいけないと」からの「どこかセーブするのは」の場面展開みたいな変化がスムーズに綺麗に決まったから、頭の中のイメージにスッと入り込んでくれるのでイカれたお姉さんが登場することはない。。
愛しさのアクセルをもっと踏み込んでよ
愛しさ ⇒ 第二回鑑賞会で語った「男が女を思う切なく愛おしい気持ち」
思い出を振り切るスピードで
思い出 ⇒ あなたが私を深く愛さない理由となる
⇒ それらを振り切って、アクション起こしなさいよ!
愛しさのアクセルをあなた加減してる
加減してる ⇒ え…もしかして好きじゃないのかなぁ?
これ以上愛しちゃいけないと
これ以上愛しちゃいけない ⇒ 後ろめたい何かでもあるのかしら?
…
私だってそれなりに、彼に好かれてもらおうと頑張った
愛してもらおうと、いろいろやってみた…あんな場面、こんな場面、あ~った~でしょ~ぅ♫
…
でも彼は…
私と真剣に付き合うつもりはないみたい
私のことを好きにならないように、深く愛さないように、どこか加減している…
あっそ…
そーゆーつもりなら…
こっちだって
私だって…
私たって…
…
どこかセーブするのは 嘘をつきたくないから…
嘘をつきたくないから ⇒ 振られたんじゃなくって、私が彼を振ったのよ…って
火遊びを楽しんできたふたり…
だけどそろそろ真剣に付き合うのか答えを頂戴っていう心理面を自分は思い浮かべている
11月のアンクレっぽい雰囲気に続きそうな?アンクレ前の物語的な?
かとみなの声と美貌を持つ綺麗なお姉さん、あるいはかわいい女の子を「私」に当てはめて妄想を楽しめばいい…