AKB48×ハロプロ 現代アイドル読解学

今をときめくアイドル達の輝きとそれらを取り巻くヲタらの生態を研究・観察していきま~す。

早安少女組に移籍した森戸知沙希の現在、過去、未来…

 

船木結でミンミンゼミのナンタラが去年の今頃か~なんて思っていると…あれれ?

去年の今頃と言えばなんかモーニング娘。で、アイドル合戦戦国バトル大会~♪とかなんとかやってたような…

鈴木啓太が仕切りを務めていながらにしてびっくりするくらい面白くなくて。でもそれはアイドルがどうこうではなくてNMB48の独自のコンテンツでも思うことだけど作り手の作り込み具合、練り具合がペラッペラだから。「お前らの好きなアイドルちゃんが出てんだぞwwwww」っていうだけの性的見世物ショー上等でやっていると、洗脳されたヲタらはいいだろうけどそうではない者からするとビックリするくらい面白くない。それで稀に、そんな粗末なつくりでもどうにか面白くしよう、やってやろうと魅せることに奮闘する「逸材」が紛れていたりすると、一段と光輝いて見えたり、あるいはやってる彼女たち自身が「これはキツいっす。。。」ってやるせなさが垣間見えたりする面白さがあるのが、群れ型アイドル女子のこの手の手抜き企画の特徴でもある。

 

それで~、去年の夏の戦国アイドル合戦はそーゆー面白さはないけど移籍したばかりの森戸知沙希がどんなものか?なじみ具合とか育ちの悪そうな荒々しいモーニング娘。のメンバーたちとの絡みはどうか?をみるには最適だった。

観て気付くのは…

モー娘。メンバーがどうこうじゃなくて、森戸知沙希自身がまだまだ心を開いておらずに端へ端へ、自身で身を隠してオーラ消して存在感消して、こっそりひっそりと細々と「なんか誰かいる…」そんな感じで、要は「コイツ全然なじめてねぇぇぇぇ。。。」だった。

メンバーたちもバカではないし事情も知っているから懸命に受け入れようとはしているんだけど、森戸知沙希の照れ屋で恥ずかしがり屋で引っ込み思案なところで前面に出ていて、まだまだ全然なじめてなかった…そりゃそうか…あの頃はまだ2か月程度。

 

さあそして。

1年だよ、1年経ったね!

故郷カントリーガールズのブログをとうとうまったく更新しなくなったくらい、「モーニング娘。森戸知沙希ですけど?なにか?」みたいなドヤ顔感満載で玉座の据わり心地良すぎちゃって、モーニング娘。に染まっちゃってるんじゃないの?なんて思い、戦国アイドル合戦バトル大会今年もやってるのかな?…なんて思い動画を探すも特に無し…

森戸知沙希率いるモーニング娘。が今どんなものなのか見てみたいなぁ~と、AKB漬けの日々の反動から急にモー娘。を欲し始めてしまった!

 

それでー…

戦国バトル合戦大会は今年は無いらしい。

ロッキンナンチャラやフェスナンタラのしょ~もない動画にまみれているその中に1つこんなものが…

なじめてねえぇぇぇ。。。。

 

相変わらず端っこが居心地良いあたしのポジション♡~感半端ない森戸知沙希の存在感。

尾形春水がいないところを見ると彼女の卒業(6月)前後のものだとわかる。

すっごいどんよりとした昏いオーラ、輪に入れていないから「あ~ぁつまんないなー…」「早く終わんないかな~…」感満載。

 

1年経ってこれなのか…さすが、ある意味で闇が深い?森戸知沙希の精神世界。

1年経っているからさすがに他のメンバーたちも「ちぃちゃん!ちぃちゃん!」言わなくなっているのが1年ぶりのモー娘。観て思わず笑ってしまった…そりゃそうだ。。移籍当時はどうにかちぃちゃんを受け入れようとみんな頑張って気を使って「ちぃちゃんいいよ!ちぃちゃん可愛いよ!ナイスちぃちゃん!ファンタスティックなちぃちゃんFHOO!」ってみんなで気を使ってフォローしていたけど、もはやそんな影も形も無く…いいくぼさんももはやちぃちゃんとかど~でもいいし状態になっているのがこれもまた面白い。

 

そう、他のメンバーたちの変わりようはあからさまに違うのに、森戸知沙希だけが去年の夏と同じままの森戸知沙希のままであるのが、これが何よりも面白い。

モーニング娘。をみた瞬間、去年の夏から一気にワープして1年経ったんだな~という時の流れを感じさせてくれるが、森戸知沙希を見ると、あの日のままの森戸知沙希が一人ぽつんとただいるだけだ。

楽しめてないから作業的なこなしになるしだから全力になれない

みんなではしゃぐ場面でも一人浮いて上っ面感が抉り取られる…

これを以って森戸知沙希モーニング娘。入りは失敗だったと気付かされる。

ユーモアと視野の広さでグループ内の内面世界を支配していた鞘師里保鈴木香音がいたとすれば、また違ったかもしれない…しかし今はとうとうユーモア派がすべていなくなり(道重、鞘師、香音のテレビ出演豊富なメンバー)グループで群れて出ることはあっても単体で出ることができないnothingなメンツらばかりだからどうしたって森戸知沙希を輪に入れることができないのも仕方がない。

悔しくも個人的に大爆笑してしまった場面。。。嗚呼悔しい

 

綱引き対決バトル~♪

で、レフェリー役の生田と石田。

真ん中、綱を踏んで

「よ~い…はじめ!」

でスタートする場面を、「スベり~ず!」

 

やった2人が、まずは大ウケ。

周囲のメンバーたちも『ぎゃははははは(爆)』ってくらい大声出して大爆笑。

やった2人は爆笑起こって気を良くして、グ~👍👍なんてしてしまう。

 

その後ろでただ一人…

欠片もまったく一切クスリともしない森戸知沙希が目に入る。

森戸知沙希だけ欠片も笑ってないんだよね。

それを見てはじめてそのシーンは爆笑できる。

コイツ笑ってねえぇぇぇ。。。。。…って。

 

イェ~ィ👍👍なんて爆笑勝ち取って気を良くして喜んでるお二人さん、後ろを見て?

ももちイズムの継承者だけは笑ってないから…

 

 

なるほどなるほど…

1年経ったことで森戸も、もはや別に気を使って先輩たちに寄らなくていいし合わせなくていいし笑わなくていいし、生田とかど~でもいいし生田とかマジムカツクしというタガのハズれが彼女の心境として起きていたのだなぁと、1年の時の流れをそこに感じることができた。

 

これで思い浮かぶ絵が一つある。

やはり、バレンタインイベントの「カントリー・ガールズDVDマガジン」で魅せたカントリー・ガールズ森戸知沙希とメンバーたちは、友達、親友、クラスメートなんだよね。魅せ方が。

で、モーニング娘。森戸知沙希は、学校の授業中の席に座って勉強している森戸知沙希なんだよね。

畏まって真面目で勤勉で、じゃあかといって先生が「これ分かる人?」って言っても決して手を挙げない。

席の順的に自分の答える番とか、先生に「森戸、答えてみなさい」と言われてはじめて言葉にする。

決して自ら手を挙げて発言することをしない、引っ込み思案で閉じ籠った着席の知沙希ということなのだ。

さあさあそして、堅苦しい授業が終わりました。休み時間だ~お昼だ~放課後だ~~~ってなると、カントリーのメンバーたちと集まってキャーキャーはしゃげる素の森戸知沙希そのものが姿を現わす。

森戸にとってモーニング娘。は学校の授業なんだよね。

つまりもう、いくら経ってもどうあがいても、モーニング娘。森戸知沙希が素を魅せてカントリー的はしゃぎを繰り出せる真の森戸知沙希になることはない。

敵視しているわけでもないが憧れてるわけでも好意があるわけでもない、所詮はただの生徒と先生の授業風景。先生が異性であればまだしも、同性でおばちゃん。友達にはなれない。仲良くなんてなれない。親友はちゃんと別のところにいる。

 

さてこれは、別に「ちぃちゃんダメじゃないか~1年経ってまだそんななんて子供じゃないんだからさ」「ももち先輩が見たら悲しむよ」「プロ意識を持とうよちぃちゃん」ってネット恒例の物言いをしたいわけではない…

 

 

森戸知沙希

青春小僧、森戸三等兵、森戸少年、もりとイズム、もぎとのおやぢ、ちはやぶる、ちしゃげ、さっちゃん、ちぃちゃん、御汁苦汗(おじるくかん)、苦々流汗(くくるかん)、多苦無限汗(たくらまかん)など多数の愛称を得て人気を博す。

極度の人見知りなのに気が強いという意味不明な性格。「発狂芸」を得意とする。

深い深い精神世界を持ちなおかつ知的な面も持ち合わせている類まれなエリート気質な女子。思考回路は「理数系」にありがちな短路型の脳にもかかわらず、指揮官ももちの指揮下で育ったこととその深い精神世界を持つことで「笑い、ユーモア」を披露できる思考を手に入れた。

 

これは(2016秋)カントリーガールズと行くバスツアーの、「早朝からトーク」するという企画の中での1シーン。

 

ツアーの客(ヲタら)からの質問に答えるコーナーの途中に、それは起った。

鈴木啓太「質問です。『春夏秋冬で、一番好きな季節は何ですか?ボクは、森戸ちゃんが一番好きです。』」

森戸「はぁぁぁぁぁ????」

森戸「季節関係ないし」

森戸「マジキモいんですけど」

 

会場は凍り付く…

早朝の眠気が一気に吹き飛ぶ。

森戸節。発狂芸。

「はぁぁぁぁぁぁあああ!!」

って波動でも飛んでくるのかと一瞬、ビビる。

早朝でボ~っとしていた森戸は、ついつい素が出てしまったようだ。

ヲタらに真実を告げるのは宜しくない。田中れいなのような不良キャラが言うならまだしも、指揮官ももちの指揮下で育った純粋なアイドルとしては宜しくない。

MCの人も笑いに換えてその場を取り繕う。

ヲタらも、それを書いたヲタが悪いという認識はできているのでどうにかその場は和やかに収まる。

顔を出さない(その場に出ない)手紙だからって、何書いてもいいってわけではない。

 

ちなみに、「はぁぁぁああああ???」の後すぐの森戸。

 

ももち先輩の教え「24時間アイドルでいること」

ニッコリアイドルスマイルで

「てへっ♡なんつって♡」

 

森戸知沙希の発狂芸…

キレ芸とはぜんぜん違うガチ感溢れる背筋凍る恐怖世界。

もっともっと引いて超ロングな客観位置から見ないと笑えない、新感覚の震撼芸。

 

 

おふざけパートはさておき彼女に関して確実に言えることは森戸知沙希は生き急いでいる」

とにもかくにも、生き急いでいる。

偉大な姉がいるせいか?

指揮官ももちの影響なのか?

同世代と自分を比較して焦っているのか?

彼女はとにかく生き急ぐ。

 

ラジオでのいくつもの鬼気迫る発言。

「え~ヤバいよ。もう今年終わりだって!」

「えっ、ちぃ加入したとき14歳だったのにさ、もう16歳になるんだよ(汗)ヤバくない(汗)」

「もうちぃ17歳だよ?ヤダヤダヤダ(汗)ホントにヤダ。。」

「えー!?もう1年経つの?早いよ。。」

「えーーー!!もう2年経つの?あっという間過ぎて…怖いよ…」

「年々時が経つのが速く感じて、なんにも出来てないなっていうか…」

「年ばっかり重ねて中身が伴っていないっていうか…」

 

彼女は年を取ることを異常に恐れている。

普通、キラキラしい10代の女子は年を取ることを恐れない。時の流れなど気にしない。

「うわ~…もう〇才かー。。」

なんて落ち込まない。

全身全霊のエネルギーは日々加速して勢いがあるのが10代という者だ。

指揮官ももちが何度も発言している言葉

「学校にも通えて同世代の女の子たちが経験できないようなこと(アイドル活動)もできて、すごく幸せでした。」

からもわかる通り、昔の黄金期と言われたモーニング娘。時代とは大きく違って、非常に緩やかな優しい活動のカントリーガールズなのだから、日々の暮らしにゆとりは存分にあるし、そしてなおかつアイドルであり、名のある大きな事務所に在籍しているのだから、女子としての鼻高々感、他に魅せ付ける自己の満たしもさぞ宜しい。

ところが森戸は、生き急いでいるせいでこの手の発言が非常に多くなる。年齢に関して敏感だ。

私には時間がない…

こんなことしてる場合じゃない…

もっと…もっと日々を懸命に生きなきゃ…

 

かつて松紳という、島田紳助松本人志の2人の天才が語り合うというテレビ番組があった。

その中で2人が意気投合して話題になったこんな話がある。

「学生時代のテストで、みんな同じ時間で、みんな同じ授業を受けてて、みんな同じものをやってるにもかかわらず、30点取るヤツもおれば50点のヤツもおるし100点取るヤツもおる。」

「こんなもん、おかしい!」

『あはははは』

「おかしいやろ?みんな同じやってんで。24時間しかない中で、おんなじ授業受けて、おんなじテストやってんねんで?」

「なんでオレが30点でコイツ100点やねん。そんなん、おかしい」

「オレな、その秘密、わかった(笑)」

「ホンマですか!教えてください!」

「あんな?(テストで100点取るヤツ)そいつな、5回目やねん。ほんでオレ1回目やねん(笑)」

『あはははは』

「そいつはもう4回もおんなじテストやっとんねん。5回もやりゃ100点くらい誰だって取れるやろ。オレ1回目や。1回目で100点なんて取れるかいな。」

 

そう。

生まれ変わりの話。

2回、3回と人間に生まれ変わって、いつか見た景色、感じたことのある感覚、回数を重ねることで人としての完成度を高めるという話。

 

紳助の話続き。

「だから大統領とか総理大臣とか科学者とか、そんなんになる人なんかは、もう50回くらい生まれ変わってるんとちゃうか。」

「空港なんかにもようおるやんけ?待合室で、ケータイでデッカイ声でしゃべってるマナーの悪いオッサン。こんなんは1回目や。他人の迷惑を考えるっちゅうことができへんねんな。」

「このオッサン腹立つな~しばいたろかボケぇ、思うんやけども、まあ、まあ、オッサン1回目やししゃ~ないか思て許してやんねん(笑)」

『あはははは』

「オレと松本なんかはもう、20回、30回はいってるんちゃうか?(笑)」

「そうなんです、そうなんですよね!それで、20回とか30回いってるボクらが、1回目のオッサンを『うっさいボケー!』言うてド突いたったらアカンのですよ、ド突いてしまうと、次生まれ変わるの、ダンゴムシになってしまうかもしれないんですよね。」

「おう、そうやそうや(笑)」

 

 

森戸知沙希もこれに当てはまる。

既に何回目かで経験し体験しているからこそ、青春時代の儚く短い時間を推し量ればこそ、無意識のレベルで彼女は生き急いでしまう。

まだまだ、やりたいことはたくさんある…

やり残したくはない…

あれもこれもやりたい…

もっと…もっと

人見知り特有の深い精神世界と客観性。

彼女のどっしりとした面構え。

幾多と石田を見下した笑いの高度なツボ。

規則正しい生活の送り。

人間的向上に対する意欲。

 

他のハロプロメンバーらが日々「今年の目標は?」「今ハマっていることは?」と聞かれ答えるアイドルの宿命があるのだが、そのほとんどだれもがたとえば「今年の目標は歌とダンスをもっともっと上手くできるように」とか言いながら、努力をしていない。「高校生になったから勉強を頑張りたい!」って言って頑張らない。

いわゆる「口だけ」

でも、それでいい。

彼女たちが頑張ろうと頑張らなかろうと、別に誰も何にも知ったこっちゃない。頑張ろうと頑張らなかろうと、ミサイルは飛んでくる時は飛んでくる。頑張ろうと頑張らなかろうと、地球に何の変化も与えない。頑張ろうと頑張らなかろうと何ら問題はないからむしろ頑張らなくていい。

しかし森戸に話を戻すと、彼女は「料理を頑張りたい」と言い、ガチで実践する。そしてそれは、言ったんだからやらなくちゃ的な後押しではなくて、そんな発言とかど~でもいい、料理しなくちゃ感だ。女の子なんだから料理頑張らなくちゃ♡でも全くない。

つまり、彼女はもう何回目かを生まれ変わって人間を経験しているから、無意識的に、無意識のレベルで、「10代のうちに料理くらい出来るようになっていないと」という焦りを感じている。彼女はガチで、料理を努力する。他人に魅せ付けるためでもない、今年の目標で述べちゃったからやらなきゃでもない。だから彼女に「なんで料理を頑張りたいの?」って聞いても、「えっとぉ…」で詰まる。「私には時間がないんです!生き急いでるんです!やらなくちゃならないことは山とあるんです!!」なんて答えるはずもない。

 

何かこういう類の話をすると宗教じみた気味の悪い話のように思われがちだがもちろんぜんぜん違う。

紳助の言う「生まれ変わり」を真に受けてはいけない。非常に高度なたとえ話だ。

「中学生って3年生まで。」

「3年生が終わったら、中学生は卒業。そして高校1年生。」

「でもそうしないで、3年生終わったらまた(身体的見栄えだけが)中学1年生に戻って、やったら、すっごい、…イイよね(笑)」

「勉強めちゃくちゃできるし、恋にだって積極的に行けるかもしれない。一度経験した道、出来事、今度はもっとうまくこなせるかもしれない。」

 

一度来た道…

 

森戸知沙希から感じられる特殊な風格、彼女が一度経験済みの世界を生きるかのように思わせる、先見の明をヒントに突き進む知的なクオリティを感じさせてくれる異質で不思議な存在感。

勉強もそう、オシャレもそう、お菓子作り、料理、流行りものに踊らされるのすらもそう。

悔いの残らないように、がむしゃらに。

悔いを残して大人になんかなりたくない。

悔いを残して年を取りたくない。

やりたいことはたくさんある。

やるべきことはたくさんある。

楽しいことだけやれればいいではない。

気持ちのいいことだけできればいいやではない。

辛いこと、苦しいことをも込みで懸命に物事に臨み励み生き急ぐその姿勢。

それが森戸ちさきの魅力である。

 

 

加えて森戸には「偉大な姉」がいる。

栃木だか茨城だかの田舎の辺境地で、ローカルアイドルとして過去に活動していた、姉がいる。(森戸自身もハロプロ前にそれをやっていた)

ど~しょ~もない虫けら感、アイドルの欠片もない無様な姿、村人の爺さん婆さんが15、16人しかいない公民館で、畳の上で歌って踊る。罰ゲーム?って現代の若者たちから見ればそれはそれは気色の悪い世界観。AKBと比較しようものならそれはまるでボットン便所の底と天空の城ラピュタの差だ。

メンバーたちも次々と去っていった。グループ解散時、2人しかいないグループになっていた。

でも、姉は最後までやり切った。

最後の2人に残っていた。

心折れそうな辛い日々をも乗り越えて、途中で投げ出さずに最後までやり切った。

じじいばばあしか見てないようなしょ~もない活動なんだから、適当にやって辞めてしまってもいいはずなのに。

きちんと学校に通い、青春時代を生きるその中に、「ローカルアイドル」としての活動もちゃんと最後までやり切った姉。

自分の意思で、全力で。

妹の自分は途中で離脱し、しかもでっかい事務所に入って正規のアイドル活動を始めた。

それでも愚痴や嫌味なんて一切言わない姉。自分を恥じて投げ出したりはしない姉。

自分の道を突き進んでやり切る姉の姿を妹は常に傍で感じていた。

高校卒業とともにそれは解散し、大学に通って華の女子大生生活を謳歌させる姉。ボーイフレンドができて、いずれ結婚し、家を出る時が来るだろう。

常に先行く姉の姿を、妹はいつも見ている。

七五三、小学校に入学、中学に入学、部活動、勉強、遊びの変化、興味・関心事の変化、おもちゃ捨て、などなど…

「この年でこれやって、この年でこうなって、この年で、そうなる…」

偉大な姉が指標となる。先へ先へと勢いよく進む姉の姿が常にある。

彼女が生き急いでいるのには、偉大な姉の影響があるのかもしれない。

姉のようになりたいとか一生懸命頑張ろうとかではなくて、「女子としてのステップアップ、段階の経方」を間近で感じることによる焦りだ。

女という生き物のゲノムに組み込まれたタイムウォッチのカウントダウンに影響を与えている姉の存在。

ボケ~、ダラ~っと生きてカウントダウンを見て見ぬふりしている怠け系女子とは違って、森戸知沙希はカウントダウンに追いつかれないように生き急ぐ。

 

それだけならまだしもそこにさらに偉大な先輩・指揮官ももちの存在まで入り込んでくるからややこしい。

嗣永桃子は、ベリーズ工房の解散を22歳で決めた。すでに教員免許を習得しており、アイドル活動に終止符を打って次の道へ進む気でいた。準備ができていた。ももちは22歳でアイドル活動を終わる予定でいた。

たまたま、ホントたまたまカントリー・ガールズプレイングマネージャーとしてアイドルの寿命が25歳まで延びたが、ももち自身の意思としては22歳で「アイドル・ももち」を完結していた。

アイドル・ももちのトレードマークである「ももち結び」もベリーズ工房の解散と共に終えている。

 

そう…

 

22歳という指標、アイドルを終えるべき目安。

22歳というこのライン。大学卒業、社会人、結婚、子供でなくなる遊んでる場合じゃなくなるこのライン。

同世代の女の子たちはこの年で何をしているのだろう?どうするのだろう?どうなっているのだろう?

ももち先輩が工房生活を終えようと思ったその深い意図、決断に隠された意思。

22歳という一つのゴールライン、アイドル活動の終了をそこに置いて意識してしまう。

それにももち先輩はアイドルをやりながらもう一つの道も着実に進めていた。

そしてそれは、芸能界がダメだった時の保険で、進めていたのではない。

生き急ぐ森戸には良きお手本となると同時に、自分も何か探さなきゃ、やらなくちゃ、って焦りを、ももち先輩の背中を見ると覚えてしまう。(モーニング娘。に加入したものの)このままずっとアイドル活動をしてダラダラ生きて成長して、無駄に年を取って、いよいよ卒業したその後、道重の様に「やることなにもありませ~ん」とはなりたくない。程度の低いハゲヲタ相手にカネを巻き上げてヘラヘラしているような大人にはなりたくない。アイドルだけにしがみついて中身カラっぽのバカな女にはなりたくないと思う。ももち先輩の様に先を見て、先を見据えて、賢く立派で、常に前へ走っている女性でありたいと思う。

姉の結婚と出産。ももち先輩の結婚と出産。カントリーガールズのメンバーのアイドル卒業。必ず訪れる節目のその時、自分はアイドルしかやっていない惨めな姿ではありたくはない。

「用意周到」「準備万端」

ももちイズムの教えの一つだ。

しゃべり、MC、歌ダンス、イベントその他何でも、ノープランで出て行ってくっちゃくちゃではいけない。きちんと準備して咀嚼して反芻して、こなせるようにして、披露出来るようにする。

勉強することもそう。

勉強して知識を積むことも「準備」「用意」の1つだ。トーク中に難しい言葉が入るたびに「え?それって何ですか?」って聞いてトークを止める間抜けではいけない。トーク内容が理解できないでグダクダするなんてもってのほかだ。

森戸が漢字検定や資格を取りまくったり小中時代の計算問題をひたすら解きまくったりと、勉強にも力を入れている話は有名だ。

知を積み経験を積み大人と対等に渡り合える立派なアイドル、立派な女性でありたいと彼女は思って実践もする。

 

 

このようにいろいろな要素が混ざり合って、彼女は人として、女子として、アイドルとして、ひたすらに生き急ぐ。

しかし彼女で面白いのは、こんなのでありながらにして「心、魂派」であるという点だ。

思考は指揮官ももち同様だし賢いのも同じ。馬鹿の悪乗りを寄せ付けない凛とした態度と知的レベルの高さ。

こんなのでありながら小関船木に負けないくらいに魂の喋りを繰り出す。

 

森戸少年と呼ばれてファンたちから親しまれている彼女の特権に近い際立った特徴。

情熱家、熱情愛、燃える魂、闘魂感、純朴少年のような一途で素直でまっすぐな心。スタジオジブリの主人公のようにまっすぐなハート。実は彼女の深い内面世界を作り出していたのは、青春真っただ中の純朴な少年の心であった。

多くのファンたちは森戸のその美しい少年のような情熱的なハート、キラキラした瞳の輝き、素朴な性格に魅かれた。

 

これは、ももち先輩の卒業に贈られた寄せ書き。森戸のメッセージが目を引く。

 

「一緒に登った富士山…」

 

これは…

 

指揮官ももちの私情(富士山登りたいな~…、でもプライベートで登ることはまずないな~…タレントしてる今しか登るチャンスはないな~…、よし!企画にしてしまおう!カントリーガールズのメンバーたちも巻き込んで、みんなで登ろう!そうだそうだ!『富士登山、みんなで登れば怖くない!』ガッハッハッハ)により、富士山に登る羽目になったチビっ子たち。

結果的に、心の絆を大きく深めるメンバーたちにとっても素晴らしい経験となった富士登山

世界的にも厳しい山で有名な富士山。ガチの登り、全員フラッフラ。脱落者多数。それでも頂上まで登った。森戸ももちろん登り切った!

森戸は、富士登山に備えて「スクワットしてー、腹筋20回やって…体幹(トレーニング)もやったんですよ!」体力、筋力をつけるトレーニングを積んだそれを嬉しそうに話す。すでに述べたとおりだ。「準備」「用意」することを怠らない森戸の性格。熱い魂。燃える希望。立ち向かう努力。

この富士登山は指揮官ももちにとっても、メンバー全員にとっても良い経験となった。間違いなく。

間違いなく、辛い経験でもあった。

この出来事を、ももち先輩卒業の寄せ書きに書き記してしまう森戸少年の青春魂。大きな思い出の1ページ。

 

 

クールで知的だから気持ち悪いものに「はぁぁぁああ???」って言っちゃうその一方で、純朴少年のようなキラキラした情熱的なハートを持つこの二面性。極度の人見知りだけど気が強いという意味不明な性格。発狂芸を得意とするイカれた才能。そんなアイドル。それが森戸知沙希

 

そんな森戸だから、カントリーガールズから引き剥がされた件は誰よりもショックを受けた。他のメンバーたちが100%辛ければ彼女は101%辛かった。200%なら201%辛かった。他のメンバーよりも突き抜けてダメージを受けた。

多くの見る目のないヲタらは、(森戸はもともとモーニング娘。オーディションに早々に落選しているから)モーニング娘。に再加入できて喜んでいると言うが残念ながらそうではない。(むしろそうであった方が彼女にとっては慰めになって良かったのだが)

純朴少年森戸にとって、愛するももちお母さん、愛する戦友小関、愛するメンバーたちとの別れは生涯消えない心に傷を負う大きなダメージとなった。

それでまた森戸の勇気100倍少年感の面白さが出ていて、メンバーたちを心配させないようにしなきゃとか、ももち先輩を心配させないようにしなきゃ、とかそういう自分よりも他人を気遣う視点から移籍先での活動を頑張ろうと四苦八苦する。間違っても「モーニング娘。のいち一員として、一生懸命働きます!」「モーニング娘。をもっともっと世に知らしめるために精進します!」「ハロプロ20周年に向けて頑張ります!」とは微塵も考えない。飛躍するとかしないとか彼女にとっては知ったこっちゃない。

寄せ書きにも書かれているが森戸は様々な場面場面で

「ももち先輩、ご卒業後も私たちのことを見守っていてください」

とももち先輩に直接伝える。人見知りで照れ屋なんだけど、そこだけははっきりと伝えておきたい熱いメッセージ。

人見知りの森戸らしい、寂しがりやな一面がうかがえる。繋がりが断ち切られるのは辛い。

他のグループに移籍して活動することとなってしまった。けれど穢れのない森戸少年の熱いハートはいつだって故郷カントリーガールズを忘れない。

移籍したとき、他の2人と違って森戸は長らく抵抗していた。モーニング娘。でのブログを更新しないで、カントリーガールズとしてブログを更新し続けた。

メインの活動先はモーニング娘。になってしまうが、心までモーニング娘。に捧げる気にはなれない。心はいつだって母と仲間のいる故郷にある。

 

都会に出てきた田舎のねずみは、森と田んぼのちっさき故郷を、いつも恋しく思っている。